抵当権抹消(ていとうけんまっしょう)
抵当権抹消とは、不動産に設定されている抵当権を登記簿上から正式に消す手続きのことをいいます。抵当権は、住宅ローンなどの借入れをするときに、金融機関が不動産を担保として設定する権利です。ローンを完済しても、抵当権は自動的には消えません。正式に「抵当権抹消登記」という手続きを行うことで、はじめて抵当権が消えたことが公的に認められます。
抵当権が残っていると、その不動産を売却したり、新たに担保に入れたりする際に大きな支障となるため、完済後はできるだけ早く抹消することが重要です。手続きには、主に金融機関から発行される「登記原因証明情報」や「弁済証書」などの書類が必要で、通常は司法書士に依頼して進めるケースが多く見られます。
任意売却の場合、通常は売却によって得た代金でローン残債の一部または全額を返済し、金融機関に抵当権の抹消に同意してもらう必要があります。任意売却が成立した後は、買主にきちんと所有権を移転するためにも、必ず抵当権抹消登記を行わなければなりません。もし抵当権が残ったままだと、新しい所有者が安心して購入できず、売買自体が成立しないこともあります。
抵当権抹消には登録免許税という国に支払う税金(不動産1件につき1,000円)と司法書士報酬がかかりますが、手続き自体は比較的シンプルなものです。とはいえ、書類不備や手続きのミスを避けるためにも、専門家に相談することをおすすめします。