引渡し(ひきわたし)
引渡しとは、不動産の売買契約が成立した後に、売主が買主に対して実際に物件を引き渡す手続きのことを指します。これは、契約だけでなく、所有権や使用権などの実質的な権利が買主へ移転する重要なステップです。通常、不動産の売買においては、売買代金の支払いと同時に鍵の受け渡しや所有権移転登記が行われ、この時点で買主が正式にその物件の所有者となります。
引渡しは、単なる物件の受け渡しだけでなく、電気・ガス・水道といったライフラインの名義変更や、必要に応じて建物内の設備確認、境界の確認なども含まれることがあります。円滑に進めるためには、事前に双方で内容をよく確認し、トラブルのないよう調整しておくことが大切です。
任意売却においても、引渡しは売却手続きの最終段階として行われます。ただし、任意売却では通常の売却とは異なり、売主が住宅ローンを完済できない状態であるため、金融機関(債権者)との綿密な調整が必要になります。物件の売買代金をもとに、抵当権の抹消や差押えの解除などを完了させた上で、引渡しが実行される流れです。
この引渡しが無事に完了することで、任意売却は正式に終了し、債務整理の一区切りを迎えることになります。逆に、引渡しまでの手続きが適切に進まないと、売買そのものが成立しないリスクもあるため、専門家のサポートのもと、慎重に進めることが重要です。
任意売却を成功させるには、引渡しを含む全体の流れを理解し、余裕を持ったスケジュール管理と、金融機関・買主・専門家との連携が欠かせません。