売却許可決定(ばいきゃくきょかけってい)
売却許可決定とは、競売にかけられた不動産について、裁判所が「この物件をこの価格で売却してもよい」と正式に認める決定のことを指します。これは、競売手続きの中でも非常に重要な段階であり、この決定が下されることで、落札者(最高価買受申出人)が正式に不動産を取得できる権利を得ることになります。
競売では、まず入札によって最も高い価格を提示した人が「最高価買受申出人」として選ばれます。しかし、その時点ではまだ売買が確定したわけではありません。裁判所はその入札価格が適正かどうか、不正行為がなかったかなどを確認したうえで、売却許可決定を出すかどうかを判断します。
売却許可決定がなされると、その決定は一定の期間が経過することで「確定」します(通常は開札日から2週間程度)。確定後、落札者は決められた期限内に売却代金を全額納付しなければなりません。代金の納付が完了すると、初めて不動産の所有権が移転し、落札者が正式な所有者となります。
一方で、債務者にとっては、この売却許可決定が下されると、物件を手放すことが確定的になります。そのため、任意売却を希望する場合は、競売が進行し売却許可決定が出る前に手続きを完了させる必要があります。任意売却は市場価格に近い形での売却が可能で、生活再建の面でも有利になることが多いため、早めの対応が重要です。